シロノムの憂鬱 Writtined by KANAAN-PEPO 「博士、博士〜」 助手のシロノムはいつ来ても汚い研究室の中に向かって叫んだ。 「なんじゃい、うるさいぞ」 床に散らばった本がもぞもぞ動いたかと思ったら薄汚れてよれよれになった白衣をきた博士が上半身を起こした。いつもの如く白いものが混じった髪の寝癖で跳ねあがっていた。 「うるさいって・・・そりゃないですよ。8:00に起こせって言ったの博士じゃないですか」 「そうだったか?」 いつもの如くですでに慣れていたシロノムはいつものようにだけ文句を言った。 慣れているとはいえやっぱり文句の一つも言いたくなるというものらしい。 「そうですよ。今回はこのとおり・・・」 そういうとシロノムはポケットから簡易レコーダーをとりだした。 シロノムが[PLAY]ボタンを押すとレコーダーから博士の声が再生された。 「シロノム、明日は朝8:00に起こしてくれんか?」 そこまで再生されたときシロノムは[STOP]ボタンを押した。 「どうです?博士。」 彼は勝ち誇ったようにいった。 「わしゃ知らんぞ。」 けろりとした声で博士はいった。 「知らないって・・・現にこうして声が記録されてるじゃないですか?」 「記憶にはない、といってるんじゃ。第一、わしの声ではないぞ。」 シロノムの表情がこわばった。 「そうじゃな。」 いきなり後ろから声をかけられてシロノムは飛びあがった。 「は、は、博士・・・」 シロノムは後ろを振り返って言った。そこにはよれよれの白衣を着た博士が立っていた。真正面には、布団代わりの本の間から身を起こした博士がいる。 「え・・・え・・・えーーーーーーっ」 「とりあえず実験は成功じゃな」 後ろに立っている博士がニタニタしながら言った。 「見分けがつかないというところが味噌じゃな。これには苦労させられたぞい。」 「よく言うわい。結局関節などの見つかりにくい部分はごまかしておるじゃないか。」  呆然とするシロノムを無視して二人の博士は話を続けた。 「だいたいじゃな、研究費をけちるから人工皮膚を使うことができないんじゃないか。」 「何を言う、人工皮膚なんぞつかいだしたらいくら研究費があってもたまったもんじゃないわい。大体、人工皮膚はそれだけでは役に立たんから、その下の筋肉模型まで作らなきゃならん。そんなものは代理アンドロイドには不要じゃ。」 「ほほぅ、なぜ人型にこだわったんじゃい。おまえのようなじじーの代理なぞ頭だけあれば十分というものだろうが。」 「みなまで言わなくとも分かっておろうが。おまえの頭脳はワシのコピーだからの。」 「無駄な知識しかないのぉ。」 「あの・・・博士・・」  二人の博士のやりとりを聞いていて、少し冷静さを取り戻したシロノムは後ろに立っている博士の肩をつんつんした。 「何を言うか、この知識があるからこそおまえができたのだろうが。」 「それではなぜワシの目には赤外線レンズや透視レンズが搭載されておるというんじゃ。」 「あの・・・博士〜」  無視されたシロノムは博士の袖を引っ張った。  しかし、博士はそれを無視した。 「それは趣味というものじゃ。おまえのようなアンドロイドには理解できんわ。」 「女の裸など見て何が楽しいというんじゃ。」 「は〜か〜せ〜っ」  シロノムは思いっきり博士の頭をどついた。 「あいたっ、何するんじゃ。」 「今度僕にもその映像を見せてください。」  目をらんらんと輝かせてシロノムが言った。当初の目的はすっかり頭から消えている。 「ということじゃ、シロノムの顔と声に切り替えて早速更衣室に向かうんじゃ。」 「仕方ないのぉ・・・では行ってきます。」  お面を取るように顔をはずした博士のアンドロイドは、側らの箱からシロノムの顔を取り出すとお面をかぶるように取り付けた。それと同時に声までシロノムのものに変わった。 「ば〜が〜ぜ〜っ」  シロノムは両目からだばだば涙を流して博士にすがった。 「誰が馬鹿じゃい。」 「止めてくださいよぉぉぉぉ。そんな事されたらもう学校にこれなくなってしまいますぅぅぅぅぅ。」 「見たいんじゃろ。なら、自分の責任で見ないでどうする。」 「いや、それは・・・やっぱり自分に被害がないからありがたいんでって・・・違うぅぅぅっ。」  シロノムは、力いっぱい叫んだ。 「そもそも博士、あれはいったいなんなんですかっ。」 「あれか?。あれは身代わりアンドロイドじゃ。わしの偉大な名前を取ってチャンドラ2と呼んでおる。」 「ダサイ名前じゃ。」 「ええぃっ、うるさいわい。」  チャンドラ博士は、手に持っていたリモコンのスイッチを切った。それと同時にチャンドラ2は、全身から力が抜けたように床の上に崩れ落ちた。 「ワシの頭脳のコピーを持っておるというのに、こんな余分な受答えしかできんとは、失敗じゃの。」 「まんま、博士だと思いますけどね。」  感心したようにシロノムは言った。 シロノムの憂鬱、後書き 後書きもクソももう何年発表していい状態で発表してなかったからですね 軽く10年過ぎてます つか、これ以上のオチを目指して止まってたとこです 正確な日付は10年前ならHPの日記にあるのでわかるはずですが日記っても公開している分ですが読み返すのも大変なので調べるのはしません というのは、この、ショートショートを書いてた頃は一番元気に創作活動してた頃で、購入記念CGとかショートショートとか書きまくってましたから これもその一本です 購入したのはノートパソコン、チャンドラIIです チャンドラって一大ムーブメントを起こしたノートパソコンですよ 今でもガタはきてますが稼働します 一時は鯖として復活を企みましたが断念しました メモリとストレージがねぇ debian最低環境ねら動かなくもないんですがあとのメンテを考えて保存機にしました とまぁ、購入記念なんで名前を出すことが先にあるという邪道な作りです、この作品 今頃になってスマフォで後書き寝ながら書いてること考えると道具の進化の凄さ、感じられずにはいられません 下手するとスマフォの方が入力早かったり まぁ、ちゃんとPCの前で書くのには負けますが それにしても、未完成やアイデアメモの物量、凄いことになってます ま、飯食ってる人の足元には及ぶところじゃありませんが せっかくのアイデア、活かしたいものです メッセージはこちらまで http://miporinpepo.dyndns.org/cgi-bin/novels/k-taibbs.cgi