「オペラ」 予告編スペシャル参加作品・おまけ編 原案:砂田 ストーリー:KANAAN−PEPO(FCN10047) 「なぜオペラなの?躍動感のあるミュージカルの方が、今時は受けが良いのではなくて?」 「素材がある。」  宏史は無表情なまま、目だけを少女に向けた。 「ジェニー・黒井。18歳の日系ハーフか。ニューヨークで拾ったこの娘、そんなに歌がお上手なの?」  緑は挑戦的とも思える眼差しを、少女から夫に向け直した。 「新進劇作家の、早川宏史さんのお眼鏡に適うほど?」  ここまでは、砂田さんのファイルよりコピーしたかなあんは、ディスプレイを前に大きなため息をついた。 「オペラかぁ・・・・実際に見たことがないからなぁ、」  そう、かなあんはそれまでまともにオペラを見たことがなかった。しかし、書くと言った手前どうしても書かなければならないと追い込まれていた。追い込まれて焦っているため、まったくといっていいほど、キーボード上の指は動いていない。 「こんなことなら、オペラ座の怪人ぐらいは読んでおくことだったわね。」  この言葉にかなあんは振り向いた。しかし、そこには誰もいなかった。  当たり前である。声をかけた人物は、かなあんの妄想が生み出した人物であり、言葉そのものはかなあん自身の口から語られたものだからである。  しかし、かなあんには妄想の人物が見えてるらしい。その人物の姿をかなあんの頭から引き出すことはできるのだが、いかんせん、;BOOK_ORGの規定に抵触することは間違いないので、描写は控えることにする。だが、このままでは文章が続けにくいので舞(仮名)と呼ぶことにする。まぁ、わかる方にはその人物がいかなる人物かわかるというものである。 「オペラ座の怪人かぁ・・・、マーヴィン・ピークやね。」 「・・・ガストン・ルルーよ。」 「言わなきゃばれなかったのに・・・。」  すねたような声を上げて、かなあんは口を尖らせた。 「・・・神野さんってそういう方面に詳しい人から突っ込まれるわよ。」 「大丈夫、神野さんがこんなの読むわけないやんか。」  妄想の人物舞(仮名)は、手にした扇子で思いっきりかなあんの頭をはたいた。  当然のことながら、かなあんの妄想に反応しているため、傍から見ているとかなあんの行動は単なる馬鹿である。一人上手であるが、いたって本人は大真面目らしい。  はたかれた頭をおさえたかなあんを見て、くすくす笑っていたパルプ○ンクス(仮名)、通称ぱぁる、はパソコンの脇にあるテーブルにコーヒーを置いた。無論、実際そこには誰もいない。脇役中の脇役とはいえ、やっぱり抵触するのは間違いないので細かい描写のできないぱぁるも、当然、かなあんの想像の産物である。  かなあんは、想像で痛い頭をさすりながら想像の産物であるぱぁるの置いた・・・もともとはかなあん自身が自分で入れて置いた・・・コーヒーを手にとって少しすすった。 「ねぇ、おいしい?」  想像の産物のぱぁるはかなあんに聞いた。無論、想像の産物のぱぁるが今いれたばかりであるはずもない、時間の少しすぎた冷めかけたコーヒーはおいしいはずはない。しかし、かなあんの幸せな舌にとってはそのコーヒーは入れたてのおいしいものであった。冷めているとはいえ、もともと豆を引いてドリップしたものであるからおいしいことに違いはないのである。 「うん、おいしいよ。」 「じゃあ、がんばって続きを書かなきゃね。」  かなあんの瞳にいるはずのないぱぁるの微笑みがいっぱいに広がった。  大きくうなずいたかなあんは、椅子から立ち上がった。 「どうしたの?」  想像の産物であるぱぁるは首をかしげてかなあんに聞いた。長い緑の髪がさらさらっとながれた。 「いや、ルルーでもチェックしようかと思ってね。」 「ルルーって、ぷよ○よの事じゃないでしょうね。」 「ぎくっ」  妄想の人物舞(仮名)のするどい突っ込みに、かなあんの動きが止まった。 「ま、まさか・・・はははっ」  額に脂汗をだらだら流しているかなあんの前で、想像の産物であるぱぁるがにこっと微笑んで言った。 「じゃあ、PCエ×ジンのパッドはあたしが預かるからね。」 「しくしくしくしくしくしくしくしくしく」 「まったく・・・書く気あるのかしら・・・。」  あきれたように妄想の人物舞(仮名)は言った。 「書く気はあるんだけど、どう書いていいのか・・・・オペラなんて知らないし・・」 「じゃあ、なんで書こうとしたの?」  想像の産物であるぱぁるがちょこんと首をかしげた。 「シチュエーションがね、いいなぁって思ったんだ。サスペンスってところがね。」 「・・・実力って言葉知ってる?」 「しくしくしくしくしくしくしくしくしくしく」  だだもれ涙を流すかなあんの前で、妄想の人物舞(仮名)が肩をすくめた。  無論、かなあんの頭の中での出来事である。もっとも、かなあんはその頭の中の出来事を現実のものとして行動している。どうみても単なる馬鹿である。 「はぁっ・・・」  ひときわ大きなため息を吐いた妄想の人物舞(仮名)は、だだもれ涙を流し続けながらゲーム基盤の繋がっているゲームコントロールパネルの前に座り込んだかなあんの頭を扇子ではたいた。 「ぷ○ぷよがだめだからって、ぱず×だまをしようとするんじゃないわよ!そんなことをする暇があるなら、オペラについて調べればいいでしょ。」  振り返ったかなあんは、手を『ぽん』と打った。 「こうやって叱ってくれるから、舞(仮名)は好きなんだ。愛してるよ〜。」 「もうっ!」  顔を真っ赤に染めた妄想の人物舞(仮名)は、力いっぱい扇子でかなあんの頭をはたいた。よっぽと照れているのであろう。もっとも、妄想の人物であるのでかなあんの望んだ行動を自動的に取るのであるが・・・。 「いいなぁ・・・。ねえねえ、ぱぁるの事は?」  軽く握り締めた小さな両手を口元に当てて想像の産物のぱぁるは、目を輝かせてかなあんにずずずいっと迫った。 「もちろん、愛してるよ、ぱぁる。」  ちょっとだけ真剣なかなあんに、想像の産物ぱぁるはもじもじとして喜びを体であらわした。顔はでれ〜っとくずれている。想像の産物だけあってそれでもかわいいぱぁるであった。  くどいようであるが、かなあんの前には誰もいない。 「さて、じゃあオペラのことを調べるとして・・・舞(仮名)、オペラ座の怪人の事、教えてくれる?」  嬉しそうにもじもじを続ける想像の産物ぱぁるから、かなあんは妄想の人物舞(仮名)に目を向けた。 「教えるって・・・わたしは詳しい事知らないわよ。だってあたしの専門は格・・」 「わーっわーっわーっ」  かなあんは、妄想の人物舞(仮名)の口を押さえて騒いだ。 「な、何をするのよ!」 「それを言ったら、正体がばれるやんか」  もう、絶対ばれてるよ。  かなり有名なんだから・・・・。 「もうっ、本当にしょうがない人なんだから・・・。オペラ座の怪人の事はね、倉[検閲]沙[削除]ちゃんに聞いたんだから。・・・気のせいかしら?」 「何が?」  かなあんは呆けた顔で妄想の人物舞(仮名)に聞き返した。 「今、何かチェックされたような気がしたのよ。」  妄想の人物舞(仮名)はあたりをきょろきょろと見回した。見回したところで見つかるはずはないのだが。 「私のこと、呼びました?」  いまだにもじもじを続ける想像の産物ぱぁるの後ろから、空想の人影[ピー]織が現れた。その・・・まぁ・・・何というか、やっぱり・・・ですね。  ですから、詳しい姿は割愛させていただくとして・・・表現上書きにくいので沙織(仮名)と呼びますのでよろしく。  怪訝そうな表情で辺りを見回す妄想の人物舞(仮名)をよそに空想の人影沙織(仮名)の質問にかなあんはさも嬉しそうに答えた。もちろん、一人上手である。 「呼んだ呼んだ。ちょうど今、話が聞きたいなって思っていたんだよ。」 「私の?なんですか?」  まっすぐにかなあんを見つめる空想の人影沙織(仮名)に少し照れたかなあんは、照れ隠しに頭をぽりぽりと掻きながら空想の人影沙織(仮名)に聞いた 「オペラ座の怪人のことなんだけど・・いいかな?」  その言葉に空想の人影沙織(仮名)は、にっこりと微笑んだ。 「ごめんなさい、詳しいことは知らないの。」  かなあんの空想の人影だけあって、当然内容を知っているわけではない。逆に知っているならそれはそれで恐い考えになってしまいそうである。 「私が知っているのは、2回ほど映画になっていることと、何度かミュージカルになっていることぐらいですね。」  詳しいことは知らないといわれた時点で石になってしまったかなあんにその言葉が耳に入ったかどうかは怪しいものであった。もっとも、石になりながらも思考を続けるとは結構かなあんも器用な奴である。 「あのぅ・・だいじょうぶですか?」  心配そうにかなあんの固まった顔を覗き込む空想の人影沙織(仮名)の横から、チェックを入れた人物を探しまわるのをあきらめた妄想の人物舞(仮名)が空想の人影沙織(仮名)の肩をたたいて、うなづいた。  ぱしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ  石になっているかなあんの頭で、妄想の人物舞(仮名)の扇子が炸裂した。  その大きな音に想像の産物ぱぁると空想の人影沙織(仮名)は首を竦めた。  石になっていたかなあんは、頭を抱えてしゃがんだ。そぉっと顔をあげたかなあんは、妄想の人物舞(仮名)と目が合った。 「気が付いた?」  にまぁっと嗤っている妄想の人物舞(仮名)の質問にかなあんは応えた。 「ピンクかぁ・・・白の方が好きなんだけどなぁ。」  げしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげし  げしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげし  げしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげし  げしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげし  げしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげし  げしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげし  きゅうっ RUSH108Hit  自分の妄想の攻撃に悶絶したかなあんは、仰向けに転がって足をぴくぴくさせていた。悶絶と同時に妄想の人物も想像の産物も空想の人影も当然消えた。 「目を覚ましてください。大丈夫ですか?」  夢の登場人物美歩鈴・・・あ、初めてまともに名前も姿も出せる人物が現れた・・・は、かなあんの真横に座ってかなあんをゆすった。 「うぅん・・・、あ・・・美歩鈴・・」  夢に目覚めたばかりのかなあんは、ぼーっとした目で自分を起こした人物を確認した。確認と同時にかなあんは、夢の登場人物美歩鈴に抱きついた。 「きゃあっ、何をするんですか。」 「美歩鈴・・・愛してるよ。」  かなあんは、夢の登場人物美歩鈴の耳元でささやいた。いもしない人物に抱きつけるとは、夢とはありがたい代物である。もっとも、現実のかなあんは、床の上にひっくり返って死にかけのゴキブリ同様に脚をぴくぴくさせているのであるが。 「あの・・・わたし・・・」  いきなり抱きつかれ、耳元で甘い言葉をささやかれた夢の登場人物美歩鈴は、耳まで真っ赤にした。 「美歩鈴・・・。」 「なんですか?」  抱きしめていた腕をゆるめて、額を夢の登場人物美歩鈴の額に合わせたかなあんは、美歩鈴の大きな瞳をじっとみつめた。  夢の登場人物美歩鈴の目が少し潤んでいる。 「美歩鈴の・・・大きい・・・」 「えっ?」  かなあんの真剣な眼差しを受けながら、夢の登場人物美歩鈴はその言葉を理解しようとした。  ぱきっ・・・・。  夢の登場人物美歩鈴の右ストレートがかなあんの顔面を捉えた。  その威力は、かなあんの鼻を中心に顔面にめり込むほどだった。さすがは夢の中である。 「・・・そういうところばかり・・・見ないでよ。」  鼻息も荒く夢の登場人物美歩鈴は、完全に怒った口調で言い捨てた。 「いや、見たんじゃなくて触れたんだけど・・・。」 「どっちも一緒よ!大体そんな話がしたいわけ?」  夢の登場人物美歩鈴の目が座った。 「そんなに怒らなくてもいいじゃないか。どうしてあたしの好きになる胸の大きな女の子はおこりっぽいんだろ。舞(仮名)もア○ナも・・・そういや、レ×ちゃんもそうだよな〜」  ・・・・深く考えずに流してください。  ここまでくると解説が恐ろしい・・・。 未完